【新刊】『資料読解 記述式問題集』編者より<おすすめポイント>のご紹介!
編者より<おすすめポイント>のご紹介!(明治大学商学部教授 石出靖雄)
私の娘は剣道部に入っていて、大きな防具袋と竹刀をもって電車に乗らなくてはいけないことがよくあります。ときどきサラリーマンに荷物を蹴飛ばされることがあるそうです。そのサラリーマンからすれば、ラッシュ時の狭い電車内に大きな荷物を持ち込むことは迷惑行為以外の何物でもないということになるでしょう。娘からすれば、仕方のないことなのだからもっと広い目で見てくれてもいいではないかという気持ちもあります。さて、どっちの言い分が正しいでしょうか。
この世界には種々の立場や、見方・考え方があります。私たちは神様ではないので、空の上から世界全体を見渡して、これが正しいということはできません。しかし、いろいろな立場や考え方を知り、その知識を利用して自分で考えるということを繰り返すことで、少し豊かな生き方ができるかもしれません。私たちは、そのような気持ちをもってこの問題集を作りました。身近にある問題を取り上げ、どのような考え方があるのか紹介し、生徒の皆さんの考えるきっかけにしていただければ幸いです。
その一方で、入学試験という現実があります。試験では一人一人の考え方を採点するのでなく、思考力や表現力を採点します。この問題集では、身近な問題に関するテクストや資料を提示しましたので、それらの情報を吟味しそこに現れている問題点を把握し、求められる条件にそって的確に表現するというトレーニングに役立つと考えます。
どうぞ、生徒の皆さんの必要に応じて本書を活用してください。本書の特徴を簡単に紹介します。
<ポイント1>今を生きるための最新13のテーマを取り上げました。
身の回りのちょっと気になる問題から、入試でも取り上げられそうな世界的な問題まで、皆さんに考えてほしいテーマを厳選しました。
<ポイント2>大学入学共通テストの国語の記述力を磨くことができます。
問いの形式は大学入学共通テストで想定されるものとなっています。
問題の難易度も、大学入学共通テストとほぼ同程度を中心に、バリエーションを考えて作りました。
<ポイント3>答えやすい問い。
記述式の問いでは、何をどのぐらい書けばよいのか迷ってしまう場合がよくあります。この問題集では、答え方の条件を具体的に示し、なるべく答えやすくなるように工夫しています。
<ポイント4>自己採点しやすいように丁寧な解説を心がけました。
記述問題の自己採点というのは主観が入り難しいものです。なるべく生徒の皆さんが客観的に採点し自ら学べるように、解答例や考え方には具体的な注意をほどこしました。また、許容される解答例の幅も示しています。
<ポイント5>高大連携を意識して問題を設定しています。
大学での勉強・研究は、想定された一つの答えにたどりつくことを目的としません。自分で問題点を発見し、その問題にどのようにアプローチしていくかが問われます。この問題集では、自分で考えることを重視しています。