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理想の辞書を求めて―学習者にほんとうに役立つ辞書とは―

石黒 圭 【編著】

野田 尚史 ・ 鈴木 智美 ・ サンキュー タツオ ・ 岩崎 拓也 ・ 小林 ミナ ・ 佐野 彩子 ・ 吉 甜 ・ 砂川 有里子 ・ 塩田 雄大 ・ 飯間 浩明 ・ 松下 達彦 ・ 木下 瞳 ・ 柏野 和佳子五味 政信李 羽喆 【著】

(A5判、240頁、5,500円)

「調べても意味がわからない」その原因は学習者ではなく、辞書かもしれない。言語研究の第一人者たちが描く「理想の辞書」への挑戦。

 日本語教育・辞書編纂・言語研究の第一線で活躍する研究者が集い、「こんな辞書があったらいい」を多角的に探究した論文集。読解や作文の実態、表記やインターフェースの工夫、生成AIやデジタル時代の可能性に至るまで、学習者の「困った」から、検索・入力・選択の課題を分析し、「理想の辞書」像を描き出す。紙からデジタル、そしてAIへと移り変わる時代において、辞書は単なる語の意味を引くツールではなく、言語学習や文化理解を支えるインフラとして進化が求められている。本書はその方向性を示唆し、「辞書学」の確立に向け一石を投じる。

・2024年刊行『スマホは辞書になりうるか―日本語学習者の辞書引きの困難点と指導法―』を受け、その解決策としての「理想の辞書」を提示する。

目次

辞書の使用


第1章
理想の辞書のために
・石黒 圭(国立国語研究所)

第2章
学習者の辞書使用実態に基づく読解に役立つ辞書開発
・野田尚史(日本大学)

第3章
日本語学習者が文章を産出する際に役立つ辞書
―質の良い例文を参照できる辞書を目指して―
・鈴木智美(東京外国語大学)

第4章
日本語学習者が作文を書くときに使いやすい辞書の個性
・サンキュータツオ(東北芸術工科大学)

第5章
句読点・符号・記号の選択に役立つ表記辞典の提案
・岩崎拓也(筑波大学)

第6章
「打つ」ことを支援するための学習者辞書の開発
―「メールを打つ」という初級の授業実践を手がかりに―
・小林ミナ(早稲田大学)

辞書の設計

第7章
学習者の辞書使用から見えるデジタル辞書のインターフェースの改善点
・佐野彩子(国立国語研究所)
・吉 甜(国立国語研究所)

第8章
初・中級学習者向け日本語学習辞書における例文の作り方
・砂川有里子(筑波大学)

第9章
計量的な調査結果も提示する辞書
―現代日本語の動態を知ることができるツールとして―
・塩田雄大(NHK放送文化研究所)

第10章
「辞書にないことばと意味」を理解できるか
―学生に説明を書かせてみると―
・飯間浩明(辞書編纂者)

辞書と学習

第11章
辞書使用の語彙学習に関する効果
・松下達彦(国立国語研究所・総合研究大学院大学)
・木下 瞳(総合研究大学院大学大学)

第12章
『計算機用日本語基本辞書IPAL』の学習者用辞書への応用
・柏野和佳子(国立国語研究所)

第13章
日本におけるベトナム語辞典の系譜
―現在の到達点と今後の課題、学習者に役立つ辞書を目指して―
・五味政信(一橋大学・〈公財〉ジャパンマテリアル国際奨学財団)

第14章
生成AIは理想の辞書になりうるか
・李 羽喆(マカオ大学)
・石黒 圭(国立国語研究所)

おわりに


 理想の辞書を求めて 学習者にほんとうに役立つ辞書とは

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著者略歴

  1. 石黒 圭

    横浜市出身。1993年一橋大学社会学部卒業。1999年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。国立国語研究所教授。一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。著書に、『「接続詞」の技術』(実務教育出版)、『段落論』(光文社新書)、『よくわかる文章表現の技術』Ⅰ~Ⅴ(明治書院)など多数。明治書院教科書編集委員。

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