桃の夭夭たる 灼灼たり其の華 之の子 于に帰ぐ 其の室家に宜しからん…
本文(書き下し文):
桃の夭夭たる 灼灼たり其の華 之の子 于に帰ぐ 其の室家に宜しからん
桃の夭夭たる 蕡たり其の実 之の子 于に帰ぐ 其の家室に宜しからん
桃の夭夭たる 其の葉蓁蓁たり 之の子 于に帰ぐ 其の家人に宜しからん
読み:
もものようようたる しゃくしゃくたりそのはな このこ ここにとつぐ そのしっかによろしからん
もものようようたる ふんたりそのみ このこ ここにとつぐ そのかしつによろしからん
もものようようたる そのはしんしんたり このこ ここにとつぐ そのかじんによろしからん
通釈:
桃の木はわかわかしく、その花はあかあかと輝く。この子がこうして嫁いでゆけば、家庭はきっとうまくゆく。
桃の木はわかわかしく、大きな実がふくらむ。この子がこうして嫁いでゆけば、家庭はきっとうまくゆく。
桃の木はわかわかしく、葉も青々としげる。この子がこうして嫁いでゆけば、家庭はきっとうまくゆく。
出典:
『新釈漢文大系 110 詩経 上』27ページ
「国風」の「周南」6首目の「桃夭」の全文。桃は李・梅・木瓜と同様、呪物的意味をもって詩に詠み込まれる。女子が好時節に桃花のような美しさをもって嫁ぐ様子を叙しながら、円満な結婚と一族の繁栄を寿いでいる。