大学入試が求める資質・能力【『日本語学』 2025年春号】
特集◆大学入試が求める資質・能力
大学入学者選抜に係る新たなルールが二〇二〇(令和二)年から導入された。それまでの大学入試センター試験から大学入学共通テストに変更され、また、大学の「一般入試」が「一般選抜」、「AO入試」が「総合型選抜」、「推薦入試」が「学校推薦型選抜」に変更された。それにより、大学入学者選抜試験の実態と実状とが、大きく変わりはじめている。
この変更により、高等学校での日々の授業や進路指導、大学における学生の授業への向き合い方や大学教育、就職にも変化が現れて来ている。そこで、大学が入学者選抜試験によって求めてきた高等学校修了時の国語の資質・能力(学力)からどのように変わってきているのか、変わっていかなければならないのか。大学共通テストをはじめとして、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜のそれぞれについて、大学側が考えていることや取組、また、高等学校側が、この変更にどのような対応を考え行っているのかを、国語という視角からその実相を明らかにし、これからの時代が求める国語の資質・能力の育成の在り方を考えたい。
目次
◯大学入試が求める国語の資質・力(髙木展郎)
◯国語の資質・能力として求められるもの(上月さやこ)
◯高等学校国語科の授業改善(大滝一登)
――総合型選抜入試の拡大等に伴う進学校の変化を中心に――
◯大学から見た大学入学共通テストが求める資質・能力(山下直)
――試作問題と大学初年次の「書くこと」の実践との関わり――
◯共通テスト国語と高校国語の授業をつなげる実践(佐藤治郎)
――「論理的な文章」を批判的に読む・「古文」を多面的に読む――
◯一般選抜入試国語と資質・能力の育成(幸田国広)
◯「一般選抜」試験における国語の資質・能力について(小川一美)
――「読むこと」における「論理国語」との関わりを中心に――
◯「総合型選抜」試験が求める国語の資質・能力(山元隆春)
◯「総合型選抜」で育てたい「国語」の資質・能力(島田康行)
――「大学入学希望理由書」を書く経験は受験生に何をもたらすか――
◯「古典探究」は「総合型選抜」に活きるのか(寺西創)
――『十八史略』「水魚の交はり」の実践――
【コラム】
◯探究学習と大学入試(近藤泰弘)
――中高生日本語研究コンテストに寄せて――
◯大学教員が推薦型入試の受験生に求める国語の資質・能力(田中牧郎)
「学校推薦型選抜」型試験が求める国語の資質・能力(山内裕介)
――探究活動を中核にした教育課程で「言葉の力」を育成する――
◉投稿(実践報告)
◯読書を通した語彙指導方法の実践的研究(迫将倫)
――語彙知識の質的充実への焦点化――
◉連載
[ことばのことばかり90]
◯憲法は悪文?(はんざわかんいち)
[方言ほぐし糸2]
◯万葉語の末裔(小林隆)
[二次元世界のはなしかた 6]
◯『君の名は。』に見る「 心の入れ替わり」(その二)(金水敏)
――新海誠監督作品より――
[日本語で生きる子どもたち1]
◯「日本に来たら『なんにもできない子』になっちゃった」(池上摩希子)
[にほんごの航海灯9]
◯二〇二四年度日本語学会春季大会発表賞(柄田千尋)
[高等学校国語のカリキュラムの可能性1]
◯高等学校国語科におけるカリキュラム改善の視点(渡邉久暢)
[新刊クローズアップ]
◯『日本語探究のすすめ 日本語学と国語教育の連携に向けて』(田中牧郎)
* * *
[虎の門通信164]
◯「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会 論点整理」について(上月さやこ)
[新刊・寸感]
◯『日本語コーパスの世界へようこそ―気になる言葉の使い方を調べてみよう!』ほか (小椋秀樹)
◉付録
日本語学総目録2024年(Vol.43)
情報源/次号予告