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『高校国語 新学習指導要領をふまえた授業づくり 理論編』

高校国語 新学習指導要領をふまえた授業づくり 理論編 新しい時代を生きる子供たちが今身につけるべき力とは──新学習指導要領の理念や内容をふまえ、これからの国語科教育のあるべき姿について、著者が思いや考えを綴る。授業づくりのヒントや新テスト試行調査関係の情報も掲載された、高等学校国語科教員の必携書。2019年3月発売予定の『実践編』と合わせて読めば、新学習指導要領への理解がよりいっそう深まります。 

まえがき

 高等学校国語教師の「夢」とは何だろうか。大学入試に向けて、生徒に国語のテストで高得点を取らせることなのだろうか。それとも、他教科に負けない外部模試の成績にプライドを感じることなのだろうか。あるいは、大学入試や就職試験に合格させ、生徒とともに喜ぶことなのだろうか。こうしたことは、かつて筆者がいわゆる進学校の教壇に立っていた時に感じていたことの一部ではある。しかし、これらが究極的な「夢」かと問われれば、それは違うと言わざるを得ないだろう。

 そもそも私たちはなぜ国語科教師という職業を選んだのだろうか。教壇に立つことを夢見ていた頃、国語科教育の初心者として、不安ながらも熱心に学ぼうとしていた頃、私たちは何を目指していたのだろうか。そして、今、未来を生きる子どもたちに、国語科の学びを通して、どのような「夢」を託すべきなのだろうか。

 以上の問いはそれぞれ一見異なるようでいて、実は大きな共通したベクトルに支えられているように思う。国語科という教科は何のために存在しているのか。国語科という教科を通して、教師は子どもをどのように成長させられるのか。これらについて確たる哲学を私たちが共有し、その上で個々の教師の指導観を確立することが求められるのではないだろうか。

 高等学校新学習指導要領国語は、これまでの理念を継承しながらも、新しい枠組みを得て、さらに確かな方向性を模索しようとしている。教科としての存在意義の確立が根本的に求められる今、個々の教師がこれらの命題に真正面から向き合い、共通理解を確立する必要があるだろう。小手先のテクニックなど、生徒は常に見透かしている。彼らは、目の前の教師が「国語の専門家」であるとともに「国語科教育の専門家」であることを期待しているはずである。

 本書「理論編」は、続く「実践編」とともに高等学校国語科教育の発展を祈念して企画された。「理論編」では、新学習指導要領の理念や内容を踏まえるとともに、国語科教育の方向性についての編著者の思いや考えを綴っている。

 高校国語は大きな転換期を迎えており、個々の教師の不安は大きいと考えられる。そこで、これまでの高校国語の成果と課題を改めて示すとともに、尊重しなければならない不易の部分と変わらなければならない流行の部分とを明確にしようとした。教師の意識や指導方法は時代と生徒の実態に合わせた変化が求められている。一方、言語文化の価値や言葉による思考、それを支えてきた教師の教材研究力や授業技術などは国語科が失ってはならない死守すべきものである。このように、双方向への対応が求められる今、それを支えるのはやはり生徒の成長を願う教師の良識と力量である。

 続く「実践編」においては、そのような教師の願いを効果的な実践として具現化できるよう、新学習指導要領の各科目における年間指導計画や実践事例の提案などを行う予定である。ぜひ併せてご覧いただきたい。

 国語科の命運が予測困難な社会の中で問われる時代にあって、本書が一人でも多くの国語科教師の授業改善に資することを切に願うものである。

平成30年11月 大滝一登

目次 

第1章 これまでの国語科教育の成果と課題―社会に開かれた国語科教育からの照射―


第1節 先の見えない社会の変化と子供たちを巡る現状

 1.社会の変化に対して国語科は不易を貫けるか
 2.直視すべき子供たちの現状と課題

第2節 国語科教育の分岐点

 1.学習指導要領さざ波論の危険性
 2.学習指導要領とは
 3.教材の読み取りへと傾斜してきた国語教育
 4.大学入試=ペーパーテストを解くことへの傾斜
 5.高校国語は平易な「大学の講義」ではない
 6.「外部」に気付かれ始めた高校国語の内部疲労①
 7.「外部」に気付かれ始めた高校国語の内部疲労②
 8.古典を学ぶ意義を理解しないまま卒業していく高校生

第3節 これまでの国語科教育の成果

 1.文章の内容を的確に読み取ることの重要性
 2.経験に裏打ちされた優れた教材研究力と授業技術

 

第2章 これからの国語科教育に求められる方向性と責務―高大接続改革を見据えて―


第1節 教材ベースから資質・能力ベースの指導へ

 1.「『羅生門』の授業」から「〇〇を身に付ける授業」へ
 2.ますます重要となる教材研究
 3.目標とする指導事項に基づいた学習課題の設定

第2節 言葉にこだわることが国語科の生命線

 1.言語能力の向上と国語科
 2.言葉による見方・考え方

第3節 「主体的・対話的で深い学び」の実現

第4節 社会につながる言葉の学びの充実

第5節 学力の3要素の確実な育成を目指す高大接続改革

 1.「高大接続改革=大学入試」ではない
 2.大学入学共通テストをどう見据えるか
 3.新しい授業で入試に「対応」できるのかという「自己防御」を超えて

 

第3章 新学習指導要領国語の理念と内容―資質・能力の確実な育成―


第1節 目標の改善

第2節 内容の改善

 1.内容構成の改善
 2.〔知識及び技能〕について
 3.〔思考力、判断力、表現力〕について

第3節 科目構成の改善

 

第4章 新しい授業づくりに向けたポイント―不易と流行を見定める―


第1節 国語科のカリキュラムポリシー

第2節 「文学の軽視」という批判は正しいか

第3節 国語科のカリキュラム・マネジメントを反映した年間指導計画

第4節 新しい学習評価の方向性にアンテナを

第5節 授業をどこまでも充実させるために

 1.学習課題は謎めいたオープンエンドなものに
 2.言語活動の工夫
 3.教師の語りは最小限に
 4.生徒の使った言葉自体を教材に
 5.古典文法を嫌いにさせないために

第6節 高校国語の不易と流行を見定める

 

資料編

・高等学校学習指導要領 国語
・高等学校国語科 系統表
・大学入学共通テスト平成30年度試行調査問題・正解等 

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著者略歴

  1. 大滝 一登

    文部科学省初等中等教育局視学官。1964年千葉県生まれ。岡山大学大学院教育学研究科国語教育専攻修了。岡山県公立高等学校教諭、岡山県教育庁指導課指導主事、岡山県総合教育センター指導主事、ノートルダム清心女子大学文学部准教授、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官・学力調査官を経て、現職。文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官(国語)を併任。主な著書に、『新学習指導要領 高校の国語授業はこう変わる』(共編著、三省堂、2018)、『シリーズ国語授業づくり 高等学校国語科 新科目構成とこれからの授業づくり』(共著、東洋館出版社、2018)などがある。

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