大学生とつくる キャリア教育 「高校生記者」:髙橋 伸明先生にインタビュー(1/全3回)
国語の視点
――「高校生記者」について教えてください。
本校では、二年生の「総合的な学習の時間」(東京都独自設定科目「人間と社会」)でキャリア教育を行っています。学年全体を八グループに分け、それぞれ担当教員がついて、将来、社会で必要とされるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を育む三か月間のプログラムに取り組みます。そのうちのグループの一つとして、私がデザインしているのが「高校生記者」です。高校二年生が「記者」となって、大学や企業に行き、インタビューします。その取り組みを通して、ロールモデルの発見や自らのキャリアについて考える契機とするのがねらいです。
内容としては、まず五人一グループに分け、チームビルディングをします。そのグループごとで話し合い、訪問する大学について調べ、インタビュー内容を決めます。そして実際に大学を訪問し、現役の大学生に話を聞きます。企業についても同様に、まず訪問したい企業を話し合って決め、自分たちでアポイントメントを取り、訪問してインタビューを行います。訪問企業は、こちらが用意したものではなく、生徒らに委ねています。その結果、「消防士になりたい」というグループのメンバーの一人の進路であったり、「普段テレビを観ていて、その裏側を知りたい」などの興味・関心から、キャリアを考えるきっかけになりそうなものが決まっていきます。インタビューの結果は、最終的にパワーポイント資料にまとめ、学年全体での発表会で活動の成果を共有します。
取材先で「何を聞いてくるか」は、最終発表で「何を伝えたいか」につながります。この経験や思考を言語化する過程は国語科としても、とても大切にしていることです。国語の授業においては、文章を通して多様な表現や考え方、価値観に触れる中で、常に「自分事として考え、言語化する」ことを念頭に指導しています。「高校生記者」においてもそれは変わらず、この活動を通して、「考え、伝える」習慣が身につくことも、国語科教員としての願いであり、ねらいです。
(第2回へ続く)