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【著者インタビュー】「憲法への招待」著者:渋谷秀樹先生

【著者インタビュー】「憲法への招待」著者:渋谷秀樹先生(5/全5回)

 昨年の動画配信で大好評だった、「憲法への招待」の著者・渋谷秀樹先生のロングインタビューの内容を全5回の連載にまとめました。
新 精選 現代文B』(明治書院)の採録教材

第1回「高校の先生や高校生に伝えたいこと」
第2回「法学における《解釈》の限界と可能性」
第3回「国語科に期待されること」
第4回「法律の現在とこれから」
第5回「法学部進学指導について」


第5回「法学部進学指導について」

ーー最後に、法学部進学を希望する高校生を指導される先生方に向けてアドバイスか、何かお言葉をいただけますでしょうか。

 そうですね。今、だいたいの高校は、文系と理系に分けて、それぞれ教育指導がなされていますね。私は、東京大学の教養学部で2002年から『新 精選 現代文B』で採用されている『憲法への招待』をテキストとして使って講義しています。受講している学生は、文系から理系まで全部を対象にしています。理系の学生からは、「文章を書くのが難しいのでどうしたらいいでしょうか」といった相談があって、自分が思うように書けばいいよ、箇条書きでもいいから書いたらいいよ、そんな風に答えることにしています。自分が表現しやすい日本語を使うことが大事だと思っていますから。

 で、結局、理系の学生の中にもすごくハマるというか、よく分かるっていう学生がでてきます。なぜかというと、憲法も含めて法律は論理的な日本語じゃないですか。曖昧なところはなるべく排除して、きちっと理詰めで積み重ねていくところがあります。ですから、理系の学生の答案の中にも非常に優れたものが毎年でてきます。

 文学系を志向する学生の答案の中にもすごくいい答案がでてきます。結局のところ、曖昧な日本語を使うんじゃなくて、きっちりとした日本語を使って論理的に物事を考えるという点で理系文系は関係ないと思います。筋道通して物事を考える力があれば、憲法も含めて法律は、わかるようになると思います。

 理系に入ってきた学生の中にも、授業を聞いて自分は法律を専門にやってみたくなったといってくる人もいます。大学に入って専門的な授業を受けた際に、自分は本当に何が向いているのだろうかとか、自分は何が好きかなとかを、一旦立ち止まって考えて、本当に好きなことをすればいいので、高校の段階であまり固く考えない方がいいのかなと思っています。

 法律は数学と似ているところがあります。理詰めで考えていくからです。国語は非常に範囲が広くて、人の感性に訴えるような小説とか詩歌から、人の知性に訴える評論まであるわけです。つまり、国語は、人間の一番基本的な、どんな道に進むにしても、大事なことを教える科目です。だから国語を勉強するということは、自分の将来の道を拓くことにつながります。

 私は大学に入ってから色々模索して、たまたま大学院の試験に通ったから学者になりました。今振り返って思うと、国語が好きとか、数学が好きとか、そういう人は法律に向いている、と言えます。指導される立場の方も、この生徒は一体何に向いているのか、なかなかわからないことがあると思います。君はこれしかないよと、限定せずに、もっと広くアバウトな指導を期待したいと思います。


ーー質問は以上になります。本日は法学者の渋谷秀樹先生にお話を伺いました。ありがとうございました。

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著者略歴

  1. 渋谷 秀樹

    昭和三十(一九五五)年~。法学者。専門は憲法学。兵庫県生まれ。憲法に造詣が深い。日本国憲法を、現代の社会状況に即して解釈し、詳細な研究をしている。

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