『精選 現代の国語』単元7「現代社会はどこに向かうか」解説
(東京都立八丈高等学校 加藤玲奈)
【解説】 見田宗介著「現代社会はどこに向かうか」
論理的な文章として、主張が明確であり、図をあげることで説得力も高い文章だと言える。また、構成も分かりやすく、抽象と具体も明確に分かる。文章構成の手本とし、言語活動につなげるのに打ってつけである。
論理的な文章としてだけではなく、現代社会との教科横断的な学びも可能なのが大きな特徴だ。例えば、本文を学んだ後に、統計調査などの図や表を用いて、独自の視点での解釈をしてみる。ウルリッヒ・ベックの『世界リスク社会論』と本文をクロスさせて読みを深める。などが考えられる。
また、生徒は報道などの情報から、リスク面の「BSE」や「遺伝子組み換え」「福島原発」くらいしか知らないだろう。しかし本文にあるように、技術革新には何らかのメリットがあったはずだ。このような観点から、現代社会を再評価するような授業を通して、先を見通せるような観点を生徒に養いたい。将来、生徒は大人になり、社会に関わる中で大きな決断や計画に携わることもある。その時に、本文を思い出し、客観的に評価をする示唆としてぜひ扱ってほしい。
教材おすすめポイント
ロジスティック曲線がテーマです。図を使った評論として、現代社会を考えるための評論としておすすめです。
⇒『現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと』(岩波新書)