「国語表現」の授業づくり──インタビュー・枠組み作文・評価と処理──(田中宏幸)
雑誌『日本語学』2023年3月春号より特集記事の一部を紹介します!
–第4回–
「国語表現」の授業づくり
──インタビュー・枠組み作文・評価と処理──
田中宏幸(安田女子大学教授)
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1 はじめに―「国語表現」の魅力と実践上の課題
「国語表現」の授業は楽しい。それまで黙りこくっていた生徒が、書くことを見つけ、書けそうだという見通しがもてるようになると、人が変わったように集中して書き始め、書きひたる。書き上げた時の生徒の笑顔。読み手からメッセージをもらう時のドキドキ。生徒の気持ちが手に取るように伝わってくる。伝え合いが成立し、心の琴線に触れるというのはこういうことかと実感できるのが「国語表現」の授業である。
だが、「国語表現」は事前準備と事後処理に手間がかかる。事前準備の段階では、とりわけ課題の設定が難しい。どういう状況を想定するか。題材は適切か。表現スタイルがマンネリ化していないか。あれこれと考えあぐねる日々が続く。
事後処理においては、評価に頭を痛める。稚拙な表現であっても、その言葉に込められた思いを受けとめきれているのだろうか。どういうコメントを返してやれば、意欲をもって次の表現活動に取り組んでくれるのだろうか。できるだけ短時間で効果的に処理できる方法はないのだろうか。言葉の教育に力を注ごうとする誠実な教師ほど、こうした悩みに直面するものだ。
本稿では、こうした実践上の課題を解明するために、「表現意欲を高める3原則」を確かめた上で、対話力と文章表現力を高めるとともに個々の生き方・在り方を見つめ直すことに繋がる「インタビュー活動(聞き書き)」や、生徒の発想力や認識力を高める「枠組み作文」の指導法について考察を進め、さらに、表現意欲の喚起に繋がる「評価」のあり方について検討を加えたい。…
(続きは、「日本語学 2023年 3月号 春号」をご購入ください。)