主体的に取り組む力を育む「現代の国語」──「話すこと・聞くこと」の活動を目標とした授業実践の試み──(坂口陽子)
雑誌『日本語学』2022年3月春号より特集記事の一部を紹介します!
主体的に取り組む力を育む「現代の国語」
──「話すこと・聞くこと」の活動を目標とした授業実践の試み──
坂口陽子(富士見丘中学高等学校教諭)
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はじめに
今年度から、「現代の国語」が本格的に実施されることとなった。今回の学習指導要領の改訂で、重視されたのが、従来の教授型による受け身の授業から、生徒による主体的な表現を重視した授業へのシフトチェンジである。
「現代の国語」2単位年間70 時間のうち、「読むこと」が10 ~ 20 時間、「書くこと」が30 ~ 40 時間、「話すこと・聞くこと」は、20 ~ 30 時間とされており、話し合う能力や書く能力の育成に焦点を当てた学習活動が求められている。
しかし、初めて扱う教科書を前に、表現活動をどのように組み入れたらよいのか、どう授業展開すれば効果的に目標実現できるのか、教師自身も戸惑いや不安を感じているのが実情ではないだろうか。これまでの国語の授業は、文章の読解が中心に据えられ、話したり書いたりすることがあっても、それは読解の整理や読みを深めるための言語活動として行われるケースがほとんどであった。では、「話すこと」や「書くこと」自体の能力を高める授業とは、どのようなものなのだろうか。この点に関して、大滝(注1P 235)は、以下のように述べている。
「話すこと・聞くこと」や「書くこと」の領域の学習は、実用的なもので言葉に関する真の思考力を育成しないという主張もあるかもしれない。しかし、そもそもこれらの領域の指導事項は、「内容」の〔思考力、判断力、表現力等〕に位置付けられており、技能の育成を目指すものではない。また、これらの学習の過程には「情報の収集」「内容の検討」「考えの形成」が含まれており、当然、読む活動が欠かせない。
例えば、スピーチしたり、プレゼンテーションを行ったりする場面で当て…
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