「現代の国語」「書くこと」の授業改善を考える──「指導と評価の一体化」を目指して── (田中洋美)
雑誌『日本語学』2022年3月春号より特集記事の一部を紹介します!
「現代の国語」「書くこと」の授業改善を考える
──「指導と評価の一体化」を目指して──
田中洋美(椙山女学園高等学校教諭・司書教諭)
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はじめに
『高等学校学習指導要領(平成30 年告示)総則』では、学習評価の充実に関する項目(「指導の評価と改善」)が新設され、「主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を図る、いわゆる『指導と評価の一体化』」の実現を目指している。本稿では「現代の国語」「書くこと」を進める上での指導と評価の工夫について考えてみたい。
1 授業改善の方向性について
[1]「他者との関わりの中で伝え合う力」を高めること
「現代の国語」が「科目の目標」として求める「思考力、判断力、表現力等」とは「論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし、他者との関わりの中で伝え合う力を高め、自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする」ことだ(『高等学校学習指導要領(平成30 年告示)解説 国語編』p69。以下、『解説』と記す)。
この目標には3つの「力」が挙げられているが、その下支えとなるのは他者意識ではないだろうか。たとえば、野矢茂樹(2021)は「仲間内に向けては共感を求め、外に向けては反感を剥き出しにする」と「『他者』に対する意識のあり方の変化」を指摘している。その「他者」に対する過度な攻撃性と無関心を懸念し、「仲間ではない他者を他者として尊重する態度」を取り戻す方策として「書く経験」の重要性を説く。
たくさん書いていればいつか文章力がつくというのはまったくの誤解である。誰かに読んでもらう、しかもその相手は自分の言葉をなかなか分かってくれないかもしれないし、へたをしたら傷つくかもしれない…
(続きは、「雑誌『日本語学』 2022年春号」をご購入ください。)