言語文化「A書くこと」の授業実践に向けて──何が変わるの?何が変わらないの?──(小沢貴雄)
雑誌『日本語学』2022年3月春号より特集記事の一部を紹介します!
言語文化「A書くこと」の授業実践に向けて
──何が変わるの?何が変わらないの?──
小沢貴雄(東京都立豊島高等学校主任教諭)
|
1 はじめに
「下人の行方は、誰も知らない。」に続く話を、読んだことを基に想像して書け。という課題は少なからず設定されてきたが、学習指導要領(平成30 年告示)の考え方では、これは「書くこと」の学習ではない。「読むこと」の学習に位置付けられる。『高等学校学習指導要領(平成30 年告示)解説 国語編』(以下「学習指導要領解説」という。)には、
書く活動だからといって必ず「A 書くこと」の領域の指導であるとは限らず、育成する資質・能力と言語活動との整合性を的確に見極める必要がある。(p.141)
とある。「書く」活動をしているから「書くこと」の領域の指導をしている、「話合い」活動をしているから「話すこと・聞くこと」の領域の指導をしているといった、「言語活動=指導の領域」という誤った思い込みをしないようにしたい。確かに設定した言語活動と指導の領域が同じになることはあるが、「育成する資質・能力と言語活動との整合性」を整えた上、どの領域の指導なのかを意識し、単元を構想する必要がある。
冒頭に挙げた設問を決して否定しているわけではない。むしろ、本文を読み味わったからこそ設定できるものであろう。「A 書くこと」の指導は、そうした読み味わうこととは一線を画した指導の領域だと捉えられる。
では何をもって、言語文化「A 書くこと」の領域の指導になるのか、本稿では考えていきたい。
(続きは、「雑誌『日本語学』 2022年春号」をご購入ください。)