学びに向かう力を育む「現代の国語」──既存教材を使って自分の「読み」を構築する── (齋藤 祐)
雑誌『日本語学』2022年3月春号より特集記事の一部を紹介します!
学びに向かう力を育む「現代の国語」
──既存教材を使って自分の「読み」を構築する──
齋藤 祐(中央大学附属中学校・高等学校教諭)
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はじめに
以下は、次年度から始まる「現代の国語」を想定した、2021 年度・高等学校1年生における「国語総合・現代分野」の授業実践の断片的な記録である。
本校には、附属中学校から内部進学してくる生徒が約170 名いる一方で、高等学校から入学してくる生徒が220 名ほど在籍している(1クラスあたり43 ~ 45 名×9クラス)。卒業後、在籍者の9割が中央大学へと内部進学してゆくという意味において、典型的な大学附属校であると言っていい。
2021 年度、稿者は高校1年生に配属となった。担当したのは、現行の学習指導要領対応科目として今年度で最後になる、国語総合・現代文分野【2単位】である。
1 第1回(4/15)ガイダンス
2021 年4月、まだ入学間もない段階で、今年度第1回目の授業を迎えた。昨年来の新型コロナ・ウィルス感染症対策のため、対面ではあるものの、45分・短縮時間での授業開きである。
本校では、大学進学後に活用できることを目論み、高校3年次に、生徒自らが設定したテーマに基づいた10,000 字の卒業論文作成を課している。ゆえに、1年次の授業ガイダンスでは、卒業時のディプロマ・ポリシーの具現化として、10,000 字の卒論を書けるようになることが本校国語科の学習目標であることを示した。
本時の展開は以下の通り。最初に、シラバスを確認しながら本校在学中に育まれるべき資質・能力を確認した。中央大学附属高等学校は近年、「見えない学力」としてのコンピテンシー育成を学校としての目標に掲げている(図1参照)。3年次に10,000 字の卒業論文を執筆するためには、定期テストご…
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