道は一に始まるも、一にしては生ぜず。…
本文(書き下し文):
道は一に始まるも、一にしては生ぜず。故に分れて陰陽と為り、陰陽合和して、万物生ず、と。故に曰く、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず、と。
読み:
みちはいつにはじまるも、いつにしてはしょうぜず。ゆえにわかれていんようとなり、いんようごうわして、ばんぶつしょうず、と。ゆえにいわく、いつはにをしょうじ、にはさんをしょうじ、さんはばんぶつをしょうず、と。
通釈:
道は一より始まるが、一のみでは何ものをも生じない。そこで分かれて陰と陽となり、陰と陽とが、和合して万物を生ずる。されば「一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ずる」というのである。
出典:
『新釈漢文大系 54 淮南子 上』167ページ
「淮南子」天文訓の一節。「天文訓」は、『史記』天官書とともに、上代中国の天文学の諸相を研究するための貴重な資料である。この後、数や音程についての議論が展開される。