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今日の漢文

峨眉山月 半輪の秋。影は平羌江水に入って流る。…

本文(書き下し文):
峨眉山月 半輪の秋。影は平羌江水に入って流る。夜 清渓を発して三峡に向かう。君を思えども見ず 渝州に下る。(李白「峨眉山月歌」)
手を翻せば雲となり手を覆せば雨。紛紛たる軽薄何ぞ数うるを須いん。君見ずや 管鮑貧時の交わり。此の道今人棄てて土の如し。(杜甫「貧交行」)

読み:
がびさんげつ はんりんのあき。かげはへいきょうこうすいにいってながる。よる せいけいをはっしてさんきょうにむかう。きみをおもえどもみず ゆしゅうにくだる。
てをひるがえせばくもとなりてをくつがえせばあめ。ふんぷんたるけいはくなんぞかぞうるをもちいん。きみみずや かんぽうひんじのまじわり。このみちこんじんすててつちのごとし。

通釈:
峨眉山にかかる半輪の秋月。その影は平羌江の水に映って、舟と共に流れている。夜、清渓を出発して、三峡の方へ向かおうとする私の舟。もう一度君を見たく思いながら、ついに見えなくなったままに、渝州をさして下ってゆく。
てのひらを、ちょっと上に向ければ雲となり、ちょっと下に向ければ雨となる。今の世の人情は、まことに測り難く、忽ちにして変りやすい。世間にいっぱいいる軽薄な奴らは、一々数え立てる要もない。君は見ないか、あの昔、管仲と鮑叔の、貧乏時代の交わりを。ああした美しい交友の道を、今の人は土のようにうち棄てて、顧みようともしないのだ。

出典:
新釈漢文大系 別巻 漢籍解題事典』378・305ページ

新釈漢文大系 別巻 漢籍解題事典

 

ポイント
「漢籍解題事典」では、『李太白集』は「別集。『李翰林集』『草堂集』ともいう。唐の李白(701-762)の撰。」、『杜工部集』は「別集。『杜少陵集』ともいう。唐の杜甫(712-770)の詩文集。宋の王洙(997-1057)編。」と解説されている。「別集」とは、個人の作品を自編、または後人が編した書をいう。本「新釈漢文大系」(全120巻・別巻1)の続編として「新釈漢文大系 詩人編」(全12巻)が刊行となる。第一回配本は「李白 上」「杜甫 上」である。『李太白集』『杜工部集』より精選された作品に厳密な語注、清新な現代語訳、的確な解説が施される。各巻に収録予定の作品を、本大系19『唐詩選』より掲載した。

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