毛道の凡夫、火宅の衆生。胎・卵・湿・化、一切有情。…
本文(書き下し文):
毛道の凡夫、火宅の衆生。胎・卵・湿・化、一切有情。善根苟も種うれば、仏果終に成る。我汝を軽んぜざれば、汝も自ら軽んずること無かれ。
読み:
もうどうのぼんぷ、かたくのしゅじょう。たい・らん・しつ・か、いっさいうじょう。ぜんこんいやしくもううれば、ぶっかついになる。われなんじをかろんぜざれば、なんじもみずからかろんずることなかれ。
通釈:
愚かな凡夫たち、煩悩と苦しみに満ちたこの世に生きる人びとよ。胎生・卵生・湿生・化生のあらゆる生きものたちよ。お前たちは、もし善い行いを前もって蒔いておけば、やがて最後には実を結ぶものだ。従って私は、お前たちを軽んじていないし、お前たちも自分を軽んじてはなるまいぞ。
出典:
『新釈漢文大系 119 白氏文集 十二下』433ページ
「六讃偈」(仏教にかかわる六つの事柄を讃えた偈頌)より「衆生の偈」の全文を掲げた。「偈頌」は仏の恵みをほめ讃える歌。他の五つは「讃仏偈」「讃法偈」「讃僧偈」「懺悔偈」「発願偈」。白居易は晩年、龍門の香山寺に住み、「香山居士」と号し、禅僧との交流があった。