博士の官の職る所に非ずして、…
本文(書き下し文):
博士の官の職る所に非ずして、天下に敢て詩書百家の語を蔵する者有らば、悉く守尉に詣し、雑へて之を焼かん。敢て詩書を偶語するもの有らば、弃市せん。古を以て今を悲る者は族せん。
読み:
はかせのかんのつかさどるところにあらずして、てんかにあえてししょひゃっかのごをぞうするものあらば、ことごとくしゅいにいたし、まじえてこれをやかん。あえてししょをぐうごするものあらば、きしせん。いにしえをもっていまをそしるものはぞくせん。
通釈:
博士官が職として掌るもののほか、天下において、あえて儒家の詩書や諸子百家の書を蔵するものがありましたら、ことごとく郡守のもとへさし出させ、すべて焼き捨てましょう。また、あえて詩書について論じ合う者がありましたら、死刑にして屍を市中に棄てましょう。古のことをもって今のことをそしる者は、一族みな殺しの刑に処しましょう。
出典:
『新釈漢文大系 38 史記 一(本紀 上)』347ページ
丞相の李斯が始皇帝に奏請した言葉。いわゆる「焚書坑儒」の政策である。