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今日の漢文

臣、伏して以うに、魏徴は是れ太宗の朝の宰相なり。…

本文(書き下し文):
臣、伏して以うに、魏徴は是れ太宗の朝の宰相なり。忠を尽くして輔佐して太平を致す。子孫在りて、合に優卹を加うべし。今、子孫の窮賤に縁りて、旧宅典売して人に与う。師道、私財を出だして収贖し、其の後嗣に却還せんことを請う。事は激勧に関われば、合に朝廷に出ずべし。

読み:
しん、ふしておもうに、ぎちょうはこれたいそうのちょうのさいしょうなり。ちゅうをつくしてほさして、もってたいへいをいたす。しそんにありて、まさにゆうじゅつをくわうべし。いま、しそんのきゅうせんによりて、きゅうたくてんばいしてひとにあたう。しどう、しざいをいだしてしゅうしょくし、そのこうしにきゃくかんせんことをこう。ことはげきかんにかかわれば、まさにちょうていにいずべし。

通釈:
わたくしがおそれながら思いますに、魏徴は太宗の時の宰相であり、忠義を尽くして天子を補佐して、太平をもたらしました。その子孫には手厚い恩恵を与えるべきです。今、子孫が貧しく卑しいことが原因で、以前の屋敷は売られて人手に渡っています。そこで李師道は私財を投じてこれを買い上げ、彼の子孫に戻すことを願い出ております。しかし、事は奨励することに関わるのですから、当然朝廷から出すべきです。

出典:
新釈漢文大系 118 白氏文集 七下』520ページ

新釈漢文大系 118 白氏文集 七下

 

ポイント
元和4年(809)の奏状(臣下が君主に奉った意見書)、「魏徴の旧宅を論ずるの状」の一節。魏徴は太宗の時の宰相。よく太宗を諫めた名臣。その様子は『貞観政要』に見える。節度使である李師道の申し出に許可を与える詔勅の草稿を書くことを憲宗に命じられた白居易が、官銭で買い取るべきであると主張した奏状である。憲宗は白居易の意見を入れて、朝廷の費用で魏徴旧宅を買い取り、子孫の魏稠に与えた。

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