逆鱗
本文(書き下し文):
夫の龍の蟲為る、柔なるときは狎れて騎る可きなり、然れども其の喉下に逆鱗径尺なる有り、若し人之に嬰るる者有らば、則ち必ず人を殺さむ。
読み:
かのりゅうのむしたる、じゅうなるときはなれてのるべきなり、しかれどもそのこうかにげきりんけいしゃくなるあり、もしひとこれにふるるものあらば、すなわちかならず人をころさん。
通釈:
あの竜という動物の性質は、飼いならせば、近よって跨ってもかまわないのだが、しかし竜の喉もと一尺ほどは鱗が逆さにうわっていて、もし人がそこに触ったなら、必ず取り殺される。
出典:
『新釈漢文大系 11 韓非子 上』153ページ
…同じく人主にも逆鱗と言うべき物がある。意見を述べる人は、心して君主の逆鱗に触らぬようにしたまえ、それがうまくゆけば、あとの成功が期待できる。