銀台 金闕 夕に沈沈たり、独宿 相思うて 翰林に在り。三五夜中 新月の色、二千里外 故人の心。
本文(書き下し文):
銀台 金闕 夕に沈沈たり、独宿 相思うて 翰林に在り。三五夜中 新月の色、二千里外 故人の心。
読み:
ぎんだい きんけつ ゆうべにちんちんたり、どくしゅく あいおもうて かんりんにあり。さんごやちゅう しんげつのいろ、にせんりいがい こじんのこころ。
通釈:
ここ翰林院や隣の金鑾殿が深い夜色に吸い込まれてゆく頃、私は翰林院に一人宿直して君に思いを馳せている。八月十五日中秋名月の夜、出たばかりの満月の姿を眺めるにつけても、二千里の遠方にいる君の心情が偲ばれる。
出典:
『新釈漢文大系 99 白氏文集 三』120ページ
七言律詩「八月十五日夜、禁中に独り直し、月に対して元九を憶う」の前半4句。元和5年(810)、白居易39歳の作。「元九」は親友の元稹。このとき、左遷されて湖北の江陵にいた。