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今日の漢文

貴と富とを慕うこと勿かれ、賤と貧とを憂うること勿かれ。…

本文(書き下し文):
貴と富とを慕うこと勿かれ、賤と貧とを憂うること勿かれ。自ら問え道は如何と、貴賤 安くんぞ云うに足らん。毀るを聞くも戚戚たる勿かれ、誉むるを聞くも欣欣たる勿かれ。自ら顧みよ 行いは如何と、毀誉 安くんぞ論ずるに足らん。

読み:
きとふとをしたうことなかれ、せんとひんとをうれうることなかれ。みずからとえみちはいかんと。きせん いずくんぞいうにたらん。そしるをきくもせきせきたるなかれ、ほむるをきくもきんきんたるなかれ。みずからかえりみよ おこないはいかんと、きよ いずくんぞろんずるにたらん。

通釈:
貴い身分と金持ちとをあこがれてはならないし、またその反対に、賤しい身分と貧乏とを苦にしてもいけない。いずれにせよ、その時は、自分自身に「それを得た自分の方法が道に合していたかどうか」をこそ問いただすべきであって、貴い身分とか賤しい身分とかいった表面的な現象などつべこべ言うに足らない。悪口を耳にしてもくよくよしてはならないし、またその反対に、賛辞を耳にしても浮き浮きしてはならない。いずれにせよ、その時は、自分自身、「かかる評判を生んだ自分の言行が道に合していたかどうか」をこそ反省すべきであって、悪口とか賛辞とかいった表面的な現象など論ずるに足りない。

出典:
新釈漢文大系 101 白氏文集 五』3ページ

新釈漢文大系 101 白氏文集 五

 

ポイント
「続座右銘」の冒頭の一節。「座右銘」については、『文選(文章篇 下)』所収、後漢の崔瑗の「座右銘」参照。序文に「「座右の銘」は、私が人知れずあこがれている訓戒である。……よく考えてみると、そこには、まだ不十分な徳目があるような気がする」ので、続けて以下のような座右の銘を作ったとある。

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