西伯将に出でて狩せんとし、之を卜す。…
本文(書き下し文):
西伯将に出でて狩せんとし、之を卜す。曰く、獲る所は、龍に非ず、彲に非ず、虎に非ず、罷に非ず、獲る所は、覇王の輔なり、と。是に於て周の西伯狩す。果たして太公に渭の陽に遇う。
読み:
せいはくまさにいでてかりせんとし、これをぼくす。いわく、うるところは、りょうにあらず、ちにあらず、とらにあらず、ひにあらず、うるところは、はおうのたすけなり、と。ここにおいてしゅうのせいはくかりす。はたしてたいこうにいのきたにあう。
通釈:
西伯(周の文王)は狩りに出かけようとして占ったところ、その卜辞に、「獲物は龍でもなく、彲(みずち)でもなく、虎でもなく、罷(ひぐま)でもなく、覇王の補佐たるべきもの」と出た。こうして西伯は狩りに出たが果たして太公と渭水の北岸で出会った。
「斉太公世家」より。「斉太公世家」は、「太公望呂尚は、東海の上の人なり。」という一文から始まるが、掲出したのは、そのやや後ろの部分。周の文王が、太公望呂尚と出会う場面。呂尚は、周の軍師となり、後に斉の始祖となる。