日月の逾え邁くを惟い、河の清むを俟つに其れ未だ極らず。…
本文(書き下し文):
日月の逾え邁くを惟い、河の清むを俟つに其れ未だ極らず。冀わくは王道の一たび平らかになりて、高衢を仮りて力を騁せんことを。
読み:
じつげつのこえゆくをおもい、かのすむをまつにそれいまだいたらず。こいねがわくはおうどうのひとたびたいらかになりて、こうくをかりてちからをはせんことを。
通釈:
月日が過ぎ去って帰らないというのに、太平の世を待つ私の願いは満たされていない。願わくは、王道が実現された世に出会い、その政治に参加して、力を振るいたいものだ。
出典:
『新釈漢文大系 80 文選(賦篇 中)』229ページ
王粲(177~217)作の「登楼賦」の一節。作者が戦乱を逃れ、荊州の劉表のもとに身を寄せていた時期の作。王粲は、この後、曹操の幕僚として活躍した。