言う者は知らず 知る者は黙す、此の語 吾老君より聞けり。…
本文(書き下し文):
言う者は知らず 知る者は黙す、此の語 吾老君より聞けり。若し老君は是れ知者と道うならば、何に縁りてか自ら五千文を著さん。
読み:
いうものはしらず しるものはもくす、このご われろうくんよりきけり。もしろうくんはこれちしゃというならば、なにによりてかみずからごせんぶんをあらわさん。
通釈:
語る者が真理を知っているのではない。真理を知っている者は黙っているものだ。この言葉を私は老子から承ったことがある。もし、老子が真理を知る者だと言うのなら、どうして彼自身が、『老子』五千言を著作なされたのか。
出典:
『新釈漢文大系 107 白氏文集 十一』273ページ
「老子を読む」詩の全文。『老子』第56章の「知者不言、言者不知」を踏まえた表現。白居易の詩には、老荘的隠者を指向するものが多い。『老子』は5000余言、81章より成る。この詩の次に来る詩は「荘子を読む」。