魚父の利
本文(書き下し文):
今、趙且に燕を伐たんとす。燕・趙久しく相攻めて、以て大衆を敝らさば、臣、強秦の魚父と為らんことを恐るる也。
読み:
いま、ちょうまさにえんをうたんとす。えん・ちょうあいせめて、もってたいしゅうをつからさば、しん、きょうしんのぎょほとならんことをおそるるなり。
通釈:
ところで今、趙では燕を伐とうとしておられますが、燕・趙ともどもに長い間、攻め合うことによって、人民を疲れさせれば、強国の秦が(先ほどお話した)漁師になるのではないかと、私には気がかりでございます。
出典:
『新釈漢文大系 49 戦国策 下』1316ページ
「魚父の利」の出典。燕を攻めようとする趙の恵文王を蘇代が諫める場面。恵文王の時代、趙では廉頗・藺相如らが活躍した。蘇代は、六国を合従させた蘇秦の弟。燕と趙を貝にくちばしを挟まれたしぎに、通りかかった漁父を秦に喩えたのである。