死する者は再び生かす可からず。法を用うること、須く務めて寛簡を存すべし。…
本文(書き下し文):
死する者は再び生かす可からず。法を用うること、須く務めて寛簡を存すべし。古人云う、棺を鬻ぐ者は、歳の疫あらんことを欲す。人を疾むには非ず。棺の售るるを利するが故なるのみ。
読み:
しするものはふたたびいかすべからず。ほうをもちうること、すべからくつとめてかんかんをそんすべし。こじんいう、かんをひさぐものは、としのえきあらんことをほっす。ひとをにくむにはあらず。かんのうるるをりするがゆえなるのみ。
通釈:
一度死んだ者は、二度と生かすことはできない。だから、法律を用いるのには、ぜひとも、大まかで細かくこせこせしないように心がけて努力すべきである。古人の言に、「棺を売る者は、その年に流行病がはやるようにと願う。それは人を憎むからではない。ただ、棺が売れることを利益と考えるからである。」と。
出典:
『新釈漢文大系 96 貞観政要 下』629ページ
「論刑法篇」にある太宗の言葉。現代でも、この言葉に心しなくてはならない立場の人々は大勢いる。証拠の捏造・改竄・隠滅などあってはならないことである。