呦呦と鹿鳴き 野の苹を食む 我に嘉賓有り 瑟を鼓き笙を吹かん…
本文(書き下し文):
呦呦と鹿鳴き 野の苹を食む 我に嘉賓有り 瑟を鼓き笙を吹かん 笙を吹き簧を鼓き 筐を承げて是に将む 人の我を好し 我に周行を示せ
読み:
ゆうゆうとしかなき やのへいをはむ われにかひんあり しつをひきしょうをふかん しょうをふきこうをひき きょうをささげてここにすすむ ひとのわれをよみし われにしゅうこうをしめせ
通釈:
ゆうゆうと(祖霊の使者の)鹿が鳴き、野の苹を食む。 我がもとに降りしは祖先の御霊。いざ瑟を弾き笙を吹こうぞ。笙を吹き簧を弾いて、かごの御供え捧げ祀らん。我をめで、我に正しき道を示し給え。
出典:
『新釈漢文大系 111 詩経 中』163ページ
「小雅」(主に、宮廷貴族の宴会の詩や述懐の詩)冒頭の「鹿鳴」より最初の一連。鹿は神霊の使いとされ、ここでは祖霊神の使者。鹿を謡い、音楽を演奏し、供物を捧げ、祖霊の神が一族のもとに来臨したことを歓ぶ。この詩は群臣や賓客をもてなす宴で謡われた。「鹿鳴館」の出典。