海は水を辞せず、故に能く其の大をなす。…
本文(書き下し文):
海は水を辞せず、故に能く其の大をなす。山は土石を辞せず、故に能く其の高を成す。明主は人を厭わず、故に能く其の衆を成す。士は学を厭わず、故に能く其の聖を成す。
読み:
うみはみずをじせず、ゆえによくそのだいをなす。やまはどせきをじせず、ゆえによくそのこうををなす。めいしゅはひとをいとわず、ゆえによくそのしゅうをなす。しはがくをいとわず、ゆえによくそのせいをなす。
通釈:
海はすべての川の水をより好みせずに受け入れる、そのために広大なのである。山はすべての土石をより好みせず、そのために高大なのである。賢明な君主は人物をより好みせずに受け入れる、そのために多くの臣下をわがものとすることができるのである。すぐれた人物は学問をより好みせずに学び取る、そのために聖知の境に達することができるのである。
出典:
『新釈漢文大系 52 管子 下』1016ページ
この後に「主、諫を悪めば則ち安からず。」とあるように、喩えを用いて君主の心得を説いている。