燕角の弧・朔蓬の簳を以て之を射れば、虱の心を貫きて、而も懸は絶えず。
本文(書き下し文):
燕角の弧・朔蓬の簳を以て之を射れば、虱の心を貫きて、而も懸は絶えず。
読み:
えんかくのこ・さくほうのかんをもってこれをいれば、しらみのむねをつらぬきて、しかもけんはたえず。
通釈:
燕角の弓に朔蓬の矢をつがえ虱を射た。すると、矢は見事虱の胸を貫いて、しかも虱をつっていた毛は断ち切られなかった。
出典:
『新釈漢文大系 58 蒙求 上』438ページ
「紀昌貫虱(きしょうかんしつ)」より。紀昌は弓の名人。その師が飛衛、そのまた師が甘蠅。この3人の話は「列子」に見える。これを小説化したのが、中島敦の「名人伝」である。この巻には、ほかに「蛍雪の功」の出典である「孫康映雪」「車胤聚蛍」などを収める。