太史公牛馬走司馬遷、再拝して言す。…
本文(書き下し文):
太史公牛馬走司馬遷、再拝して言す。……書、意を悉す能わず。略々固陋を陳ぶ。謹みて再拝す。
読み:
たいしこうぎゅうばそうしばせん、さいはいしてまおす。……しょ、いをつくすあたわず。ほぼころうをのぶ。つつしみてさいはいす。
通釈:
太史公の職を忝うしている僕司馬遷、再拝して、任少卿足下に申し上げます。……書面では十分に意を悉し得ませんので、あらまし鄙陋の心情を申しのべました。
出典:
『新釈漢文大系 57 続文章軌範 下』603ページ
司馬遷の「任安に報ずる書」の冒頭と最後。任安、字は少卿。「文選(文章篇)」には「任少卿に報ずるの書」として収録されている。司馬遷が友人の任安への返書の中で、宮刑に処せられた自己の心情を吐露している。