地は万物の本原、諸生の根荄なり。…
本文(書き下し文):
地は万物の本原、諸生の根荄なり。美悪賢不肖愚俊の生ずる所なり。水は地の血気にして、筋脈の通流するが如き者なり。故に曰く、水は材を具ふるなり、と。
読み:
ちはばんぶつのほんげん、しょせいのこんがいなり。びあくけんふしょうぐしゅんのしょうずるところなり。みずはちのけっきにして、きんみゃくのつうりゅうするがごときものなり。ゆえにいわく、みずはさいをそなうるなり、と。
通釈:
大地は万物を生み出す本源であり、もろもろの生物にとって基盤となるものである。人をはじめとする鳥獣草木の美悪賢愚のすべてが生じる所である。その一方、水は大地にとって血液であり、体内を血管によって血液が流通しているようなものである。それゆえに、「水はすぐれた徳性を具備している」と言われるのである。
出典:
『新釈漢文大系 43 管子 中』724ページ
水の「方円の器に従う」、融通無碍な性質を称えるだけでなく、万物生成の根幹をなすものとして水をとらえている。古代ギリシャのタレスが「万物の根源は水である」と唱えたことで最初の哲学者とされるのを連想する一節である。