人間万事塞翁が馬
本文(書き下し文):
福の禍と為り、禍の福と為るは、化極む可からず、深測る可からざるなり。
読み:
さいわいのわざわいとなり、わざわいのさいわいとなるは、かきわむべからず、しんはかるべからざるなり。
通釈:
さいわいが禍いとなり、禍いがさいわいとなる、こうした転変のありさまを極めることはむずかしく、転変の微妙な奥深さを予測することはできないのである。
出典:
『新釈漢文大系 62 淮南子 下』1043ページ
黒牛が白牛を産み、父子が失明したが、そのために戦死せずに済んだという逸話と、馬が胡地に逃げたが、駿馬を連れて戻り、子が落馬して足が不自由になったために戦死しなかったという逸話の後に、この一文がくる。二話ともに、禍福はあざなえる縄のごとくに相表裏して測り難いことを説いており、後者は「人間万事塞翁が馬」の格言で知られる。