凡そ地を有ち民を牧ふ者は、務め四時に在り、守り倉廩に在り。…
本文(書き下し文):
凡そ地を有ち民を牧ふ者は、務め四時に在り、守り倉廩に在り。国に財多ければ、則ち遠き者来り、地、辟挙すれば、則ち民留処す。倉廩実つれば、則ち礼節を知り、衣食足れば、則ち栄辱を知る。
読み:
およそちをたもちたみをやしなうものは、つとめしいじにあり、まもりそうりんにあり。くにざいおおければ、すなわちとおきものきたり、ち、へききょすれば、すなわちたみりゅうしょす。そうりんみつれば、すなわちれいせつをしり、いしょくたれば、すなわちえいじょくをしる。
通釈:
広く一般に、土地を領有して人民を養い治める君主たる者は、春夏秋冬の四季に応じて政令を下すことを任務とし、穀物の倉庫を充実させることにその責任がある。国家に物資が多く蓄積されれば、遠い土地に住む人民もその国に来て集まり、国内の土地が開墾し尽くされていれば、人民はその国に住みつくようになる。穀物の倉庫が充実すれば、人民は礼儀や節操を身につけるようになり、衣食の日常生活が充足すれば、栄誉と恥辱をわきまえて行動するようになる。
出典:
『新釈漢文大系 42 管子 上』13ページ
民衆の生活と国力の充実発展を期するために産業経済の施策を強調するのが「管子」の特色である。食えてはじめて道徳云々という話になるという考え方は、現代も同じであろう。