顔回問う。朋友の際わりは如何、と。…
本文(書き下し文):
顔回問う。朋友の際わりは如何、と。孔子曰く、君子の朋友に於けるや、心に必ず非とする有りて、謂うこと、能わざれば、吾其の仁人たるを知らざるなり。久德を忘れず、久怨を思わざるは仁なるかな、と。
読み:
がんかいとう。ほうゆうのまじわりはいかん、と。こうしいわく、くんしのほうゆうにおけるや、こころにかならずひとするありて、いうこと、あたわざれば、われそのじんじんたるをしらざるなり。きゅうとくをわすれず、きゅうえんをおもわざるはじんなるかな、と。
通釈:
顔回が尋ねた。「朋友の交際はどのようにすればよいのでしょうか。」孔子は答えた、「君子が朋友と交際するのに、心の中では相手によくない点があると思っても、それを口に出して注意できなければ、その人は仁人であるとは思えない。昔受けた恩を忘れず、昔の怨みを思い返さない。これは仁であるなあ。」
出典:
『新釈漢文大系 53 孔子家語』259ページ
「孔子家語」は、魏の王粛が、「春秋左氏伝」「国語」「孟子」「荀子」「大戴礼」「礼記」等から、記事を集めて偽作したものと言われているが、この部分は他書には見えない。凡人には、なかなかこのような交際はできないものであろう。